特定調停とは
任意整理は弁護士をたてて、裁判所を通さずに債権者と交渉して、借金の減額や返済方法の変更によって、完済にむけての新たな返済計画を策定するものです。これに対し特定調停は、裁判所を介して行なう債務整理で、ここには通常弁護士は参加せず、債権者と債務者の間に立つのは調停委員という裁判所の人間です。特定調停は、支払が困難となった債務者(=特定債務者)が裁判所の仲介によって、支払い計画の再編を行うための方法を相談するものです。
申立てによって特定調停は開始されますが、債務者の経済状況を調査し、支払可能な条件と債権者側で譲歩できる条件とで合意が可能であれば、そこで新たな条件で取り決めが交わされます。当然合意に至らず不調となれば、個人民事再生や自己破産など、別の方法が検討されます。
特定調停は、特定調停法(=「特定債務者等の調整の促進のための特定調停に関する法律」)という法律に基づき、簡易裁判所で行われます。弁護士を介さないことから、費用があまりかからないのが特長です。しかし、そこに過払い金があるのがわかっている場合でも、特定調停でそれについて話し合われることはありません。残債や完済分に過払い金が含まれていて、それがかなりの額であれば、任意整理に頼るべきです。
ただ、特定調停の合意後に過払い金返還請求をすることも可能ではあります。特定調停か任意整理か?それは過払い金の有無によって選び分けても良いでしょう。